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バットマン/ブルース・ウェイン   BATMAN/Bruce Wayne

闇を切り裂き現れる黒衣の不気味なヒーローの正体を知る者はいない。
「あなたは誰?」―――彼は答えるのだ、「バットマン」と。

犯罪都市ゴッサム・シティを守るダークナイト、バットマン。
様々なアイテムを駆使し、怪人たちと戦う孤高のヒーローは、やがて自分と同じ境遇に陥った一人の青年(原作では少年)をパートナーとする。彼らは日々、怪人たちや悪人の魔の手に怯える市民を助けている。

バットマンの正体は、青年実業家の大富豪、ブルース・ウェイン。
彼はウェイン社の社長であり、ゴッサム中の老若男女が憧れる理想の男。寛容で慈善事業にも積極的な美形のブルースは、様々な雑誌の表紙を飾るほどのスター的存在とも言える。しかし、その心には誰にも明かせない深い闇があるのだった。


バットシグナルで出動!

犯罪都市ゴッサムは、夜になると悪人たちが我が物顔で横行する。
そして、多くの凶悪で強大な怪人もまた、出現するのだ。
怪人たちはさすがの警察も手におえない。そんな時、闇を切り裂き舞い降りるヒーロー…バットマンの力が必要とされているのだ。
闇夜の雲に照らし出されるサーチライト…バットシグナルこそがバットマンを呼ぶ人々の助けを求める声。バットマンは人々を守る為、今日もまた、事件のもとへ現れるのだ。

おなじみのバットマンのマーク。
リドラーによって「」の点にされたり、アイビーの悪戯でバットシグナルがロビンシグナルになったことも。

 


二面性のある一風変わったヒーローの誕生

 バットマン…自分を守ってくれるナイトであり、悪に対して桁外れに強い。しかも心優しい。
 ブルース・ウェイン…誰もが羨む大富豪であり、母性本能をくすぐるような心の翳りを持つ、謎めいた美青年実業家。
 そんな彼がもてないはずがない。もっとも、女性にもてるのはヒーローの必須条件なのかもしれないが。
 しかし、彼は心に闇を持っている。誰にも明かせないような秘密を持っている。何故彼が悪を憎み、それを倒し、日々戦うようになったのか…その理由は幼少期にあった。


マイケル・キートンのBATMAN
(『BATMAN』)

ブルース・ウェインの過去

 苦労の何たるかも知らない大富豪の一人息子として、両親から愛情いっぱいに育てられていた。しかし、その両親は、ブルース少年にとって皮肉な運命の夜…悪漢によって命を落としてしまう。
 残されたのは、使い切れないほどの莫大な財産、孤独、自分のことを書き綴っていた父の日記、悲しみ、そして…悪人に対する復讐心だった。また、それは深い心の闇として常にブルースの精神の根底に存在し、他人を信用できない心の壁まで作ることになる。
 両親の葬儀の後、ブルースは父の日記を手に、激しい悲しみから屋敷を飛び出す。そして、深い深い地下洞窟の中へと落ちてしまった…

―――そこにあるのは、闇と羽ばたく音と、漆黒の中を飛翔する影。

「その時の恐怖を、悪人たちにも味合わせたい。」
 暗闇の中、出会った蝙蝠の姿にブルースは恐怖を覚えた。そして、その恐怖を、自分を不幸にした『悪人』に与えることを願った。やがてブルースは、バットマンとなる為に過酷なトレーニングをするようになる。

 執事として仕えていたアルフレッドは幼少時のブルースに尽くし、両親の代わりとして愛情を持って彼を紳士として育て導く。ブルースにとってアルフレッドは、唯一心の許せる『家族』であり、その後バットマンになってからはかけがえのない仲間でもあった。彼の手によって様々なアイテムが創作され、バットマンを無敵のヒーローにするのだ。
 そして、バットマンの永遠の宿敵ジョーカー。彼はブルースにとっても憎むべき悪であり、彼こそがブルースをバットマンへと変貌させるきっかけを作った張本人でもあった。

 


ブルースの悪夢

 喪失感と孤独と猜疑心と復讐の憎悪は、絶えずブルースの精神を脅かしている。
 両親を失った時の情景、洞窟で遭遇した蝙蝠の影が悪夢となって、彼を苦しめるのである。恐怖と同時に、尽き果てぬ悪への憎悪は決して消えることはない。
 ブルース・ウェインと言う善良な「表の顔」と、悪を憎み根絶する為に戦い続ける正義の使者バットマンの顔とを持ち合わせ、使い分ける自分に疑問を抱いていた。
 暗い過去が彼の心に大きな影をもたらしている事実は否めない。それこそが、真に愛する女性を見出した時も、仲間であり『家族』である者を手に入れた時も、奇妙な隔たりを作り出している。愛する者を失った経験は、彼に大切だと思えば思うほど相手を疎遠にしてしまう傾向を作っているのではないだろうか。そして、それがまた一層心の闇を深くし、謎めいて複雑怪奇な人物像を形成している。

 無敵のヒーローであること。
 完璧な名士であること。
 しかし、精神的な脆さや危うさすら併せ持つバットマン―――ブルース・ウェイン。
 彼の悪夢が消える時は来るのだろうか。
 その答えは、現在におけるBATMAN最終映画版『BATMAN&ROBIN Mr.フリーズの逆襲』でひとまずの決着を見れるのではないだろうか。

 


バットマンになった男たち

マイケル・キートン


1951年9月9日アメリカ・ペンシルバニア州・ピッツバーグ生まれ。
大学で演技を学び、卒業後PS−TVのスタッフに。
’75年ハリウッドに乗り込み、スタンダップ・コミックの芸を磨いた。
’82年『ラブ IN ニューヨーク』で映画デビュー。

初代バットマン/ブルースを演じたキートン。
『BATMAN』、『BATMAN RETURNS』で出演。

T.バートンが描きたかった「バットマン/ブルースの内面」を、監督らしいおどろおどろしさの雰囲気で、これ以上なく表現している、言わずもがなの名優。人間的脆さとか、不安定さなんかも良く出ていた。何故アレほど無表情なのか教えて欲しい(笑)
キートンは不可解な人物像と言うか、謎めいていると言えば非常に謎めいている役どころがピッタリ。『絶体×絶命』の犯人役が印象に残っている。
監督は、原作者ボブ・ケインが描いた初期の頃の雰囲気を再現しようとしていたらしい…バットマンが「ダークナイト」と言われる理由みたいなものを感じる。
闇の中を舞い降りる、ホールをキム扮するベッキーを連れて駆け抜ける…などのアクションもなかなか良い。バットマン&キャットウーマンの戦闘シーンなども良かった。第二段の方がよりスピーディに、ヒーロー的アクションへ進化していたし。
強いて言えば、この頃のバットスーツはまだ首周りがプラスティック製みたいで、まったく柔軟がない。振り向いたり動いたりすると鳥っぽい動きなのがやたら可笑しかった…すまん。


バル・キルマー

マイケル・キートンに代わり、二代目バットマンを演じた。

キートンと違う点は、翳りのある表情や憂いの顔がただ単に「暗い」わけではないこと。スタッフ一新と言う事で、作品自体も違う路線に進みつつある。ジム・キャリーやトミー・リーがエキセントリックな敵役を演じたことも関係するのだろうが、適度なシリアスさと破天荒なアドベンチャーが融合した『FOREVER』で、キルマーは悩み多き男性を演じて、ブルースをちょっとだけ等身大の人間にしてくれた。
前作以上のスピーディーでアクティブなアクションを演じるに当たって、アクション映画の実績を持つ彼。素顔を演じても知性と翳りがある。今回のストーリーではBATMANとして適役でしょう。しかも、ちょっとした時に、微妙に母性をくすぐる感じ(そう、ブルースが持っている魅力の一つ)を醸し出してて。
当初からの目的だったと思うのだが、原作で少年だったロビンが今回の映画で「パートナーとして対等な男」である青年に設定変えされた。ロビン=クリスについてはロビンのページで語るとして…ヴァルとクリスなら、概ねその目標が達成されたのではないだろうか。

さすがニコール演じるDr.チェイスは見事に華がある。そして、変わった男が好きな変わった女であるチェイスが惹かれていく相手役として、ヴァルは実にマッチしたブルースを演じていた。彼曰く「バットマンは悪と戦う正義漢であると同時に、シニカルな部分を持つキャラクターだ」…なるほど。

周りが騒がしいだけに、妙に落ち着いたシリアス顔のブルースが面白い。
人気役者をそろえた豪華なキャストも「心憎い演出」だ(笑)。
ちなみに私はヴァルのブルース/バットマン及び、『FOREVER』が一番好きだったりする(笑)


ジョージ・クルーニー

三代目バットマンは、ドラマ『ER』で日本でも大人気になったジョージ。現在でも大活躍だ。

悪戯好きでお茶目な彼が演じたブルースは、作品自体が雰囲気を変えたせいもあるだろうが、今までのブルースとは違う一面を見せてくれた。口元に常に微笑を湛え、大人の余裕すら伺わせるのに、どこかしら近寄りがたい雰囲気まで持っている(ブルース/バットマンの持つ性質を意識しての演技だろうか…すげえ)。
これまでの暗いイメージを一新した軽快なアクションムービー『BATMAN&ROBIN』だが、『家族愛』や『仲間の絆』などをテーマにしてある。これはある意味身近なテーマかもしれないが、「ありそうでない」バットマンの世界を極自然に馴染ませているのも彼の存在の賜物だろう。
一見優男に見えて、実は芯は頑強と言う感じを今回のブルースは持っていると思う。今までのバットマンの中で一番ヒーローっぽいかもしれない。そして、危うい暗い感じとは違う、等身大の人間、男であるブルースを見せてくれたと思う。かっこいいのに「可愛い男」と言う印象を受ける。

 


バットアイテム

BATMANの見所と言えば、パートナー、インパクトのある敵役、そしてそれぞれのキャラクターが用いるアイテムの数々である。その幾つかを挙げてみた。
ちなみに、劇中においてそれらの製作は全てアルフレッドによるもの、らしい。
並みの英国紳士じゃない(笑)


+バットモービル + BATMOBIL

バットマンのアイテムとして一番最初に上がるのは「バット・モービル」だろう。

20フィートのボディに、11フィートのホイールベース、格納式プロテクター、前輪には2種の特殊マシンガンを装備。ホイール・ハブの中に強力な破壊力を持つ弾薬が秘められ、数々の装置は全てボイス・コントローラー付き。さらに自動追跡装置まで備え、最高時速はちょっとこの世では試せないと言うスーパーカー………
(『BATMAN』パンフレットのBATMOBILE説明文から引用)

ちなみに最初のバットモービルは世界的カーデザイナー、テリー・オークランド・スノーが製作した。


バットモービル
(『BATMAN』より)

『BATMAN FOREVER』より

『 BATMAN&ROBIN』より

その後に製作された映画では、バットモービルもキャラクターやストーリーにあわせて新モデルに変わった。電飾が付いたことで、生体的なのに機械的、画面にクールなアニメーション効果を与えた。

映画の新作が作られる度にバットスーツが新調、新しいデザインになることは恒例になっているらしく、それに合わせて他のアイテムもどんどん一新される。作品自体の基本コンセプトが変わればそれに合わせてデザインが変わるのも当たり前。
もっとも、FOREVERのバットモービルはリドラーに破壊されるので、BATMAN&ROBINで新しいマシーンになっているのは仕方ないですが(笑)


+ バットハンマー + BATHAMMER

BATMAN&ROBINでMr.フリーズとの対決の為に走らせていた。
バットガールのバットブレード、ロビンのバットスレードと並び(この映画では全体的にメタリックなデザインだった)、雪の中を煌めく車体で、いつものブラックボディのモービルとは違う格好良さを出していた。


+ バットウィング + BATWING

『BATMAN』で早くも登場するジェット戦闘機以上の威力を持った専用機。
機首部分にレーザー線ロケット、機銃、挟み打ち器具などを完備。コクピットはモービル同様、自動航空装置、自動指向装置、自動照準装置を備え、全てボイスコントロールできる。
初代は教会に激突してしまったが、『FOREVER』にてトゥーフェイス&リドラーの待つアジトヘ行く時にバットマンが新型を操縦していた。しかもそれは、翼部分を切り離すと潜水艇にもなる(!)
原作で、バット・サブに乗ったバットマンが水上チェイスをする…と言うシーンがあるそうだが、そのネタを起用したのかもしれない。バットマニアとしては嬉しい演出では?

さらに速そうで、生物的な装飾美で作られた『BATMAN FOREVER』のバットウィング


下から見るバットモービル
(『BATMAN』より)

+基本的アイテム+

バット・ラング …旧型手裏剣のような武器。一番ポピュラーかも。
 ブラック・バット・ラングは暗闇から敵に向けて投げる。
 シルバー・バット・ラングは新型のハイテクを備える。腕に装着された発射筒から発射される。
バット・カフス …バットマンが悪人を捕まえた時に使用する手錠。特殊合金で頑丈。
バット・グップル・フック …垂直の壁を登ったり、飛び移ったりする時につかうフック。岩やコンクリートにも打ち付けられる。
バット・ボム …壁など、どこにでも簡単に貼り付けられる、小型の強力爆弾。BATMAN&ROBINの時、Mr.フリーズのロケットを破壊した際に登場した。


左から、ブラック・バット・ラング、シルバー・バット・ラング、バット・カフス、バット・グルップル・フック、バットボム
 (参考画像:『BATMAN FOREVER』より)


+バットスーツ+

腕のコムリンクで様々な機能もボイスコントロールできる。例えば、強力な火炎を浴びせられた時、瞬時にして完全防御・熱遮断ができるなど。また、様々な武器や装置を装備できるように作られている。
氷の上では、かかとを打ち合わせるだけで、即座に靴底からアイスリンク用ブレードが出る(どこに収納されているのか不明…もしや厚底!?)などのオプションも充実。

MORE SUITS DATA, FROM ”BATMAN”

 


OTHER "BATMAN"

こちらは’66年映画「バットマン」
テレビドラマ用のプロットタイプとして製作されたそうです。
衣装が実に忠実なデザインです。
しかし…ストーリーがわからないと変なシーンですね…
しかもバットマン、ロビンの腰に手を…
何故見てるんだオヤジ、みたいな…(腐)

ワーナーブロスのアニメ版BATMAN。
このデザインは日本でもおなじみですね。

 


バットマンの仲間たち

アルフレッド
ウェイン家の執事兼バットマンをメカニック面からサポートする、バットマンにもブルースにとっても欠かせない大切な存在。

ロビン/ディック・グレイソン
両親を殺害されて天涯孤独になり、復讐に燃える青年。後見人になったブルースのもとで、ロビンとして活躍する。無鉄砲なのが玉にキズ。

バットガール/バーバラ・ウィルソン
アルフレッドの姪で、英国名門高校の学生だったが、母であるマーガレットが死んだことでアルフレッドを頼りにウェイン家へ。バットガールとしてバットマン&ロビンを助けるスーパーヒロイン。

 


バットマン/ブルースのハートを射止めた女性たち

ベッキー・ベイル
バットマンの正体をスクープしようと躍起だった美人カメラマン。同時に、謎の多いブルースに対しても興味を抱く。そんなブルース自身も、次第に彼女に惹かれていき…。

キャトウーマン/セリーナ・カイル
ゴッサムで名士の一人の秘書をしていたが、善人顔したワルだった彼に秘密を知ってしまったことから高層ビルの上階から突き落とされた。だが、奇跡的にも彼女は一命を取り留め、キャットウーマンとして心に憎しみを抱いて甦った。謎めいた魅力的な悪女と、バットマン/ブルースは互いに正体を知らないまま惹かれあっていく。

Dr.チェイス・メルディアン
バットマンに強い興味を持つ、美しい精神科医。トゥー・フェイスの事件で出会い、バットマンことブルースが一目ぼれしてしまう。だが、バットマンに心惹かれるチェイスにブルースは、もう一人の自分へ嫉妬を抱いてしまう…。

アイビー/パメラ・アイズリー
ブルースが惚れたと言うより、アイビーのフェロモンダストに酔ったと言うか…それが原因で同じくアイビーに熱を上げてしまっているロビン/ディックともケンカしてしまう。男心を利用するまさに悪女(笑)